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吸水と結束強度の関係
■SKバインダーの調湿と結束(ナイロン66樹脂製の場合)
成形直後の絶乾時の状態と、完全に吸水された状態の丁度中間の位置で、調湿しています。大気の影響を受けて、夏の場合に於いては製品が非常に軟らかく伸び易く、また、ループ引張強度は低下する場合があります。冬の場合に於いては製品が非常に硬くなり、ループ引張強度は著しく上昇しますが、歯止めや製品全体が折れ易くなります。
以上のことから、調湿された製品と絶乾状態の製品とは全く逆の性質であり、結束に於ける利点は、絶乾状態の製品は強度が強いのみで、結束時に被結束物を強く締付けられるメリットだけです。これに対して調湿された製品は、初期の物性から自然放置されるに従ってあらゆる物性が高まり、結束状態は最良と考えます。つまり、自然放置により水分を放出し乾く方向に向かいますので、結束時よりループ引張強度は上昇し、寸法は縮み製品全体の硬さも上昇します。結束時の作業性から考えても、調湿された製品は取り扱い易く結束状態が良好で確実であると考えます。
ナイロン樹脂の吸水特性と品質
原材料であるナイロン樹脂は、大気の影響を受け易く、暫時放置しますと含水量が変わります。大気中の湿度に応じて平衝状態になるまで、吸湿したり排水する性質を持っています。ナイロンの種類によって吸水率はそれぞれ違いますが、特にナイロン66樹脂製の結束バンドは、四季を通じて気温や湿度などの環境条件が変わりますと、それに伴い強度物性も変化します。
結束バンドは形状が繊細の上、使用場所に合わせて歪曲して使う成形品のため、品質のバランスを失います。年間を通して使用工具のテンションを変えずに使用しますと延伸や破断などの結束不良の原因となります。
SKバインダーの製造に当たっては、季節に合わせて調湿を行なっていますが、性能を最大限に発揮させていただくために、使用される結束工具の強度調整の目盛の確認を使用前にしてください。
結束作業について
SKバインダーの嵌合のメカニズムは、歯止めと帯部のラチェットが微妙に噛み合って締め付けられます。歯止め先端は3ヶの山で形成されており、それぞれの歯先は順番に噛み合う仕組みです。引き締め時の「こじあけ」「こじつけ」「ひねり」などは、結束作業として適切ではありません。特に吸水の多い時は、結束バンド頭部のゆがみにより、ハズレの原因となります。また、吸水の少ない時は、係合摩擦による歯先の磨耗、歯止めの破断など、不良の原因となります。
手動工具の取り扱いについて
手動式結束工具の最大の特徴は、内蔵された巻発条にあります。トリガーと発条は連結され、荷重がかかりますと工具先端の切断刃が可動しバンド帯状部を切断する仕掛けです。
業界での手動式結束工具は外観上よく似ており、各々工業所有権を取得した製品です。
しかし発条の設定条件や切断刃の作動方向が上から降りるもの、下から突き上げるものなど使い勝手もマチマチです。工具先端のスライドプレートとツメの連係により、結束バンドの締め付けが行なわれますと、予めセットした強度に達して自動的に切断刃が作動します。各種の工具は内蔵された部品構成の違いはありますが、非常に軽く作動しますので、強度目盛の調整に留意して下さい。
※結束バンドは各メーカーによって長さは同じでも、幅や肉厚など形状の違いにより同じ締め付け強度でも耐える製品と耐えられない製品がありますので、結束の際は工具の強度目盛と結束バンドの相対を調べ、適正な強度目盛でセットして下さい。
グレードによるタイプ別の型番記号
カラーの符号(型番記号の後に表記)
UL規格について
ULはUnderwriters Laboratories.ins.の略で、米国保険協会の試験機関で完全な民間団体です。電気製品の火災などによる事故保険を事前に防ぐために、一定の安全規格を含む品質基準を定めています。米国連邦政府は、電気製品の安全規格を制定していないため、多くの州が電気製品のUL規格への適合を義務づけており、プラスチックはUL94、UL746があり、登録制を取っています。登録した材料のグレードを使用した電気製品は、材料の登録値を参考に試験の省略などがあります。
UL規格は、電気製品に使用するプラスチック材料についての電気的な試験も規定しています。
絶縁破壊電圧、耐トラッキング性、大電流、アーク着火などの電気的特性の評価、熱による劣化の評価なども含んでいます。
UL1565は、機械的強度・取付け試験等の規格です。
UL認定温度は、100,000時間の使用後にその材料の初期物性値(材料の引張強度や衝撃強度、絶縁強度など)が50%まで低下する温度で採用されたものです。
※弊社のUL規格品一覧表はP.012に掲載されています。
SKバインダーの耐熱性について
結束バンドの使用温度範囲は、主たる使用箇所である電気機器、産業機器配電盤などの内部配線の結束場所の環境温度に適する範囲でなくてはなりません。プラスチックの部品は、各種の電気製品や機器に使用されるとき、その使用温度範囲を定めている規格に基づいています。
難燃性について
プラスチックは有機合成物なので、燃え易い性質を持っています。電気製品の火災は、電気絶縁物からの燃焼が多い。建築基準法、JET、鉄道車両の燃焼性試験、UL規格などがあります。プラスチックは、難燃剤の添加による難燃化が一般的であるが、廃材処理の燃焼時に生じるダイオキシン問題でハロゲン系の難燃剤規制などがあります。
プラスチックは、燃焼性に対する安全性と環境問題に対応した安全性を両立させる必要があります。有機化合物は、燃え易い性質の物質が多く、市場の要求に対応した安全性の高い難燃グレードのポリマー設計が重要と考えます。
SKバインダーの耐候性について
屋外で自然環境にさらされた時の物性の耐久力の程度をその「耐候性」と呼びます。
結束バンドを屋外で使用する際に、要因として考えられるのが太陽光線の紫外線、赤外線(太陽熱)、昼夜の温度変化です。大気中の湿度、降雨、酸素、オゾンなどがあります。大気中のSO2、H2S、NOxなど、煤煙降下物の化学物質です。外力としては、風圧などが挙げられます。これらの要因が長い時間にわたり劣化を促進させます。
SKバインダーの耐候性タイプは、劣化を防止するためにきわめて効果の発揮できる、カーボンブラックを添加した製品です。一般着色(黒染)での添加量は、カーボンの種類にもよりますが、0.2%程度であり、耐候性アップのための含有となると、1%以上で最高3%までと考えています。また、プラスチックの耐候性促進試験は、太陽光に近い光エネルギーを持つ人工の光源を使用して、自然暴露に短時間で対応する試験であり、JISK7350が1,2,3,4部に分かれ、それぞれに実験室光源としてキセノンアーク光源、紫外線蛍光ランプ、オーブンフレームカーボンアークランプ(サンシャインカーボンアーク)の試験が規定されています。
ナイロンの耐薬品性について
一般にナイロンは化学薬品に対して強い耐久性を持ちますが、ナイロンの種類や結晶化度によってその程度は異なります。薬品の濃度、温度、時間、使用時の応力などによる影響が複雑であるから、実際の使用条件でその薬品の中に浸漬してみることが必須である。ナイロンが他のプラスチックに比べて最も特徴的なのは炭化水素系薬品に侵されにくいことであり、特にガソリンや潤滑油に対して強い耐久力を持つことである。
製品含有化学物質の管理について
株式会社エスケイ工機は、製品の含有化学物質の管理に関わる法規制や業界の動向を、営業活動を通じて的確に把握し、設計開発や材料の購買において、環境に影響を与える物質の削減に取り組んでおります。
■製品含有化学物質の管理に関わる主な法規制・業界標準動向
■RoHS指令適合品
プラスチック製結束バンド、配線固定具、ケーブルアクセサリー、ステンレス、スチールバンドなど、RoHS指令に対し、非適合品となる物はありません。
■RoHS禁止物質
その他、使用禁止物質の抜粋・・・ポリ塩化ビフェニール(PCB)、ポリ塩化ナフタレン(PCN)、塩素化パラフィン(CP)、マイレックス(Mirex)、その他の有機塩素系化合物、テトラプロモビスフェノール-A-ビス-(2.3ジブロモプロピルエーテル)(TBBP-A-bis)、その他の有機臭素系化合物、有機すず化合物、石綿(アスベスト)、アゾ化合物、ホルムアルデヒトなど。
■グリーンパートナーについて
弊社ホームページ「認証取得」の項をご参照ください。
プラスチックの物性比較表
※上記表の数値はプラスチック成形材料商取引便覧「特性データベース」及び各社カタログ資料をもとに作成いたしました。 ※各物性値は代表的な数値となっており、保証値ではありません。詳細は各社材料メーカーのカタログ資料を参照ください。 ※NB・・・破壊せず。 非結晶性・・・明確な融点がありません。( )は溶解する温度です。
酸素指数とは、プラスチックなどが燃焼を持続するのに必要な酸素と窒素の混合気流中の最低酸素濃度を容量%で表します。一般的な酸素濃度21%以上の材質は通常の空気中で燃焼が持続しないといわれ、「燃焼性プラスチック」と評価されます。
ナイロン樹脂の変色とSKバインダーの性能
熱安定材のメカニズムは、配合された錯化合物が酸化されることによって、高温下でポリアミド分子鎖の切断を防止するという機能です。この時、錯化合物が酸化を受けて配合された元素が分子として遊離し、褐色を呈することになります。熱エージング時、あるいは高温下での滞留時間が長くなった時などの変色はこのためです。
❶熱老化時の変色は、上記のように酸化防止効果が確実に進んでいることの証拠のようなもので、変色自体が製品寿命に直接影響を及ぼすものではありません。
❷特に耐熱タイプの製品を長時間保管していますと、ナイロン樹脂の熱安定剤が酸素と結びつき、酸化されることによって褐色を呈します。この場合も変色自体が製品寿命に直接影響を及ぼすものではありません。先入れ、先だしの在庫管理を徹底してご使用をお願いいたします。
プラスチックの一般的性能表